小さな怪物
第1回クマムシ研究会は、森山和道さんもビックリするくらい盛況だったようです。
私も行きたかったのですが、仕事でいけませんでした。
- 作者: 鈴木忠
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/08/04
- メディア: 単行本
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レンジでチン!しても死なない。乾燥させても死なない。冷凍しても死なない。放射線浴びさせても死なない。超高圧でもしなない。真空中でも死なないとか。100年以上生きる。・・・等々。たくさんのアンビリーバボーな伝説のある、クマムシの不思議な生態を紹介している。
私も以前から興味があるムシなのだけれど、ハッキリとこれがクマムシだ、という生き物は見たことがない。ミジンコのように小さいので、顕微鏡がないと良く見えないし、コケの隙間や土中にいたりするので、ミジンコのようにガラスのコップに入れて透かしてみるというのが出来ないので、観察するのがミジンコよりもちょっと難しい。
まず、本を開くと、クマムシを描いたカラー図版がある。クマムシがとても可愛らしく描かれているので見ていて楽しい。
次いで、カラー写真の口絵が数点。鈴木さんが「白クマ」と名付けた透明のクマムシが、透き通るような色白で、なかなかキレイだ(岩波のサイトで動いている白クマが見られる)。
それで、伝説の解説。
100年以上生きる。というのは嘘で、その他はホント。ただ、その実験で死なないということと、その実験の後も健やかに生きていけるというのは大違いということ。そして、全ての種、全ての個体が、そうだというのではなくて、うまく過酷な条件に耐えうる用意ができていた(あるいは、実験者がクマムシのそのような用意をさせるだけの条件を与えた場合だけ)個体だけが死なないで済んだということ。
たとえば、乾燥に耐えられるのは、ゆっくり乾燥させた場合だけで、急激に乾燥させると、簡単に死ぬし、超高圧に耐えるといっても、深海底のような全方向から均等に圧力がかかっている場合で、不均等な圧力には弱く指で簡単に潰して殺してしまえる。
ようするに「無敵だが、か弱い」(by寄生獣)というわけだ。
で、100年以上生きたクマムシがいる。というのは、ガセだったらしい。
話の発端は、「100年以上前に採取され保存されていたコケからクマムシが出てきた」というもの。
ちょっと考えれば、私でもこの話がおかしいことはわかる。そのコケがどのような条件で保存されていたのかが不明なのだ。完全に外気と遮断された条件でなければ、コケから何かが出てきたとしても、そのコケが採取された当時のものとは判断できないはずだ。
たとえば、100年以上前に建築された家から、赤ちゃんが出てきたとして、じゃあ、この赤ちゃんは100歳なのか?そんなバカな話はない。
とにかく、クマムシは面白い(というか、ちっちゃい生き物は、みんな面白い)。